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19水を吸った生白米を蒸すことによって白米の澱粉が水に溶けやすいα化澱粉になることは前述しましたが、α-アミラーゼはこのα化澱粉の分子をさらに小さな分子に分解する(小さく分解された分子の断片はオリゴ糖と呼ばれる)作用を持っている酵素で、澱粉は低分子になるほど粘性が低下して、いわゆる液化された状態となります。ただこの酵素は蒸米中の蛋白質によって吸着されてしまうという性質があり、そのままだと全く澱粉の液化は進まない状態となりますが、後述する蛋白質分解酵素である酸性プロテアーゼの働きがあると、蛋白質が分解されこのαアミラーゼもその効力を発揮することとなります。αアミラーゼによって低分子に分解された澱粉分子は、グルコアミラーゼの酵素作用によってさらに分子構造の最小単位であるブドウ糖に分解されます。グルコアミラーゼはこのように直接酵母が利用出来るブドウ糖を生成することから、このグルコアミラーゼ活性が強い麹ほど、ブドウ糖を生成する力が強いこととなり、ついては酵母によるアルコール発酵も盛んになることにつながります。従ってグルコアミラーゼ活性力の強い麹を造ることが酒造りにあっては重要な要点であると判断できるのです。尚、このグルコアミラーゼは一般に糖化酵素と呼ばれています。*代表的な酵素とは?α-アミラーゼ(澱粉液化酵素)グルコアミラーゼ(糖化酵素)日本酒に使用される【米こうじ】の品質について

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