20・代表的な酵素白米中には5%の蛋白質が含まれていますが、酸性プロテアーゼはこの蛋白質を分解する作用のある酵素です。蛋白質とはアミノ酸(特有の旨み成分を持つ物質)の分子が長い鎖状につながって構成されているもので、酸性プロテアーゼはこの鎖状の蛋白質をペプチドと呼ばれる単位(アミノ酸が2~20個繋がった物)にまで切断・分解する働きがあります。このペプチドは清酒に旨みやゴク味を与え、あまり多すぎると雑味を感じることがあるので、この酵素力はあまり強くならないように麹造りを進める必要があります。この酵素は蛋白質やペプチドに作用してその分子構造の端からアミノ酸を1個ずつ分解・切り離す作用のあるものです。これによって出来たアミノ酸は、麹菌や酵母の栄養源になるばかりでなく、酵母の働きによって日本酒中の香気成分になる重要な成分ですが、これも多すぎるとペプチドとともに日本酒に過剰なゴク味を与えることとなるので、必要以上にアミノ酸を分解しないように、しいては酸性カルボシキぺプチダーゼ活性を強くしないような麹造りが必要となります。※以上が代表的な麹の酵素の性質ですが、これらの酵素は清酒造りの酒母や醪(もろみ)の段階でいっしょに仕込まれる水の中に麹米の内部から溶け出していきます。そしていっしょに仕込まれる蒸米に作用して、それぞれ液化や糖化が進んでいくわけですが、ここから酵母が作用して発酵が開始されるという清酒独特の並行複発酵が展開されていくのです。酸性プロテアーゼ酸性カルボシキぺプチダーゼ日本酒に使用される【米こうじ】の品質について
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