21このように如何に麹造りが酒造りにおいて重要な部分であるかは理解できたと思いますが、この麹造りのポイントを挙げるとすればまず第一に高度精米の白米(70%以下)を使用することであり(蛋白質や脂質の少ない白米が必要)、第二としては、各種酵素の力価バランスを、目指す清酒の品質によってどのように組み立てるかであって、一般論では酵素力価の構成割合からすると、αアミラーゼを強く、グルコアミラーゼをとても強く、酸性プロテアーゼ・酸性カルボシキぺプチダーゼを弱くするようなバランス割合の麹を造ることが大切であるとされています。そしてそのようなバランスの麹米を造る為には突きハゼ型の麹を造ることが望ましく、育成法としては理想的な水分バランスで仕上げた放冷後の蒸米に優良な種麹菌(たねこうじきん)を振りかけ、均等に混ぜ合わせた上で厳重な温度・湿度管理を持って仕上げていきます。尚、このハゼ(破精)とは蒸米に麹菌が増殖して肉眼で見える菌糸(きんし)のことを言い、蒸米表面に菌糸が広がっている状態を破精廻り、破精が蒸米内部に入っている状態を破精込みといいます。そして破精の状態を示す言葉として、総破精(菌糸の繁殖が良く、蒸米表面にも内部にも菌糸が及んでいる状態)塗り破精(蒸米表面の破精廻りは良いが内部への破精込みが悪い状態)突き破精(蒸米の表面の破精廻りは良くないが内部への破精込みは良い状態)破精落ち(蒸米が乾燥してしまって全く菌糸の繁殖の無い状態)などがあり、この中でも味のきれいな淡麗型のスッキリとした風味の酒質に仕上げるには、上記の中の突き破精型の麹が最適であることがわかっているのです。破精込みの様子(蒸米の内部に菌糸を伸ばす)日本酒製造における麹造りの要点
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