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6アスペルギルス・オリゼーは長い年月をかけて日本で生まれた黄麹菌です。もともとは日本以外の世界中に存在しているアスペルギルス・フラブスがもと菌であったと考えられていますが、この菌もでんぷんを糖に変える力が強いものの、オリゼーと違い分生子(胞子)の核は一つで、外敵から守る為のアフラトキシンという毒を生成する能力がありました。古人はこのフラブスに熱を加え、温かい室(むろ)の中で育てながら、長い年月をかけて、強い糖化能力と核を数多く持ち、しかもアフラトキシンの無いオリゼーを創り出したと考えられています。その証拠にフラブスとオリゼーを分析にかけると、この二つは同じDNAで構成されているものの、オリゼーには毒性成分を出す部分が欠落していることが分かりました。(2001年構造解明によって判明)この変異は長い間、温かい安全な室の中で育ったためだと思われますが、その高い糖化能力を持っているオリゼーも培養を繰り返すことによって弱体化してしまいます。しかし『もやし屋』が大切に保管しているオリゼーの基胞子を加えると、その能力が復活するそうです。約10軒程の『もやし屋』の存在が如何に大切かを思い知らされます。尚、このアスペルギルス・オリゼーを簡単に集めるには、椿の木の若枝を炭にして、炊いた白米に振りかけてそのままにしていると、不思議なことに数日後にはアスペルギルス・オリゼーだけがそこに生えてくるのです。ごはんの上に増殖したアスペルギルス・オリゼーもやし屋菱六提供アスペルギルス・オリゼーが国菌である訳

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