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9・醤油について平安時代から約500年後、大豆麹の出現によって醤油が誕生しました。最初は現在のように麦麹・大豆麹を混ぜて造られる手法では無く、大豆麹のみで「ひしほ」と呼ばれるもろみ醤油の様なものでした。後に発酵した諸味(もろみ)をしぼって造る、現在のような醤油が出来上がりました。現在では、関東(江戸)の濃口醤油、そして関西以西の淡口醤油など地域によって風味や味わいが異なります。特に、濃口と淡口の違いは製法にあり、淡口の方が色は薄いが塩分濃度が高いと言われています。それには、関東や関西、その他の地域独自の食文化の違いによるものと言われ、和食の奥深さを物語るものです。(下図は左から濃口・淡口・たまり・再仕込・白醤油)本格的に現在の醤油が生産されるようになるのは江戸時代になってからです。1726年には『下り醤油』と呼ばれる堺や大阪から運ばれてくる醤油が約76%を占めていましたが、次第に千葉県を中心とした関東の醤油の質が向上し、1821年の醤油問屋の上申書によると、125万樽のうち下り醤油は僅か2万樽に落ち込み多くが関東産になっていったという歴史があります。その背景には、江戸川・利根川を使った水運によって多くの質の高い醤油が江戸に早く届けられたこと、更には江戸の人々の嗜好に合う濃口醤油が開発され、天ぷらや蒲焼、寿司といった日本を代表する料理が完成するのもこの時期で、醤油は日本の食文化に欠かせないものとなって行ったのです。特に冷蔵設備が無い江戸では、食材の保存に醤油も使われ、江戸前寿司はもともと魚を醤油に漬け込み、漬けなどで広く当時のファストフードとして屋台で売られていたそうです。『和食』の味わいを司る調味料はどの様に造られるか?

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